ラーマ太陽系を横切る宇宙船は何を意味するか
恒星間天体が双曲線軌道で太陽系を横切り、人類が追いつこうとする。実在の訪問者と、ゲームのラーマを比べる。
現実の世界では、これまでに3つの星間の訪問者が太陽系を通過した。2017年のオウムアムア、2019年のボリソフ、2025年の3I/ATLASだ。どれも自然の天体である。ゲームの「ラーマ」は思考実験だ。今回の訪問者が、長さ約50kmの円筒だったらどうだろう。
このページでは2つのことを分けて書く。まず実在の星間天体と、それを追いかける人類の試みを、次に円筒に「重力」を生む物理を取り上げ、そのあとでゲームが想像した物語を述べる。ラーマ自体はフィクションだ。
実在の星間の訪問者
- オウムアムア:近日点を通過したあとに見つかり、人類が観測できたのは約2か月半だけだった。実際にどんな形なのかは、いまも合意がない。
- 3I/ATLAS:太陽に対する速度は秒速約58km。年齢を76億年から140億年と見積もる研究もあり、太陽系より古いかもしれない。
- 非重力加速:2018年の解析で、オウムアムアは太陽から離れるときに少し余分な加速を得ていたのに、コマは見えなかったことが分かった。2023年に提案された説明の一つは、宇宙線の照射で氷の中に水素が溜まり、加熱されたときに静かに逃げた、というものだ。
オウムアムアが去ったあと、ライラ計画が提案された。探査機を打ち上げて追いかける方法を研究するものだ。すでに速すぎて、木星や太陽の重力を借りて加速しなければならない。星間天体がどこから来たのかを突き止めるのも難しい。軌道をさかのぼって出発点を探すのはとても困難で、何百万年もの間に、恒星そのものが動いてしまうからだ。
円筒の中の「重力」
- 自転重力:円筒を回転させると、内壁に「重力」が生まれる。1970年代、物理学者のジェラード・オニールは、こうした宇宙都市を真剣に設計した。
- 中央の平原:回転する円筒の中で見上げたときの「空」は、反対側の地面だ。
- 円筒の海:回転する円筒の中では、水は内壁を一周する帯状に広がる。
推進と機械
知られているあらゆる推進方法は、運動量が保存されるため、何かを後ろへ投げ出す。だから現実には、「反作用のない推進」の方法は知られていない。もう一つよくある発想が、自分を複製できる機械だ。フォン・ノイマンがそれを考え、自己複製プローブはフェルミのパラドックスの議論の常連になっている。
ゲームでの考え方
ここから先はゲーム設定。このチャンネルは、全天サーベイ望遠鏡が、小惑星帯の外側で双曲線軌道の物体を見つける話だ。それは太陽系のものではなく、まもなく去っていく。長さ約50kmの円筒だと分かる。星間文明の時代に「小惑星採掘」を完了すると見つかる。仕組みは時間制限つきの窓だ。太陽系に滞在するのは約30時間だけで、その間に調べきれなかったものは、この宇宙では二度と見られない。初めて発見した場所ごとに「技術の破片」が残り、宇宙をまたいで引き継がれる。
シナリオでは、探検者が出会うのは、自転軸の一端にあるエアロック、規則的な溝と幾何学模様、内壁を一周する光の帯、凍らない海、扉も窓もない建物、地面を片づける機械、そして出身地を示す星図。4分に1回転し、内壁の重力は地球の約0.6倍だ。去る前に軌道を変えるが、何も放り出さない。乗員はおらず、おそらく必要もなかった。目的地は太陽系ではない。このチャンネルのエンディングは「去っていく」の1つだけ。人類が読み終えなかった秘密を抱えて出発し、その速度はまったく変わらない。すべてゲーム設定であり、実際の観測ではない。
関連する小説
- 宇宙のランデブー(アーサー・C・クラーク、1973年):2017年のオウムアムア、2019年のボリソフ、2025年の3I/ATLASは実在の星間の訪問者で、どれも自然天体だ。小説は、巨大な円筒が太陽系に入ってくる話。人類は船を送って乗り込み、探検するが、持ち主には会えない。
関連する本物の研究
以下の研究は、小天体、隕石、星間空間に関するもの。ラーマというテーマに関連する本物の科学であり、ラーマという発想の根拠ではない。
- 巨大惑星の軌道の激しい再配置が、多くの小天体を太陽系の内側へ放り込み、後期重爆撃を引き起こした(Gomes、Levison、Tsiganis、Morbidelli、Nature、2005年)。
- 隕石の鉛同位体から、地球の年齢は約45.5億年と分かった(Patterson、Geochimica et Cosmochimica Acta、1956年)。
- 隕石に含まれるアルミニウム26の崩壊生成物は、太陽系が生まれたとき、近くで星が死んだばかりだったことを示している(Lee、Papanastassiou、Wasserburg、The Astrophysical Journal Letters、1977年)。
- マーチソン隕石から、地球外起源のアミノ酸が見つかり、生命の原料は宇宙にありふれているのかもしれない(Kvenvolden ら、Nature、1970年)。
- メキシコのユカタン半島の地下に、幅約180kmのクレーターがあり、小惑星の衝突が残したものだ(Hildebrand ら、Geology、1991年)。
- ボイジャー1号が測定した粒子の変化は、探査機が太陽風の影響圏を出て、星間空間に入ったことを示す(Stone ら、Science、2013年)。
実際の根拠
外殻:オウムアムアが見つかったとき、すでに近日点を過ぎていた。人類が観測できたのは約2か月半だけで、実際の形については、いまも意見が一致していない。
双曲線軌道:3I/ATLASは太陽に対して秒速約58 kmで動いている。年齢は76億年から140億年のあいだと見積もる研究もあり、太陽系より古いかもしれない。
追跡計画:オウムアムアが去ったあと、探査機を打ち上げて追いかける方法を研究するプロジェクト・リラが提案された。すでに速すぎて、木星や太陽の重力で加速を得ないと追いつけなかった。
自転重力:円筒を回転させると、内壁に「重力」が生じる。1970年代に物理学者オニールは、こうした宇宙都市を真剣に設計した。
中央平原:回転する円筒の内側では、見上げたときの「空」は、反対側の地面だ。
非重力加速:2018年の分析で、オウムアムアは太陽を離れるとき、コマが見えないのに、わずかに余分な加速を受けたことがわかった。2023年の説明は、宇宙線の照射で氷の中に水素がたまり、温まると静かに抜け出す、というものだ。
円筒の海:回転する円筒の中では、水は内壁に沿った帯状に広がる。
バイオット:フォン・ノイマンは、自分をコピーできる機械を思い描いた。自己複製探査機は、フェルミのパラドックスの議論の常連だ。
星図:恒星間天体の出どころを軌道から逆算するのは非常に難しい。何百万年のあいだに、恒星自身も動くからだ。
反作用なしの推進:知られているどんな推進手段も、何かを後ろへ投げなければならない。運動量保存だ。
『宇宙のランデヴー』(アーサー・C・クラーク、1973年)の科学:2017年のオウムアムア、2019年のボリソフ、2025年の3I/ATLASは実在の恒星間の訪問者で、どれも自然天体。
関連する研究
これらの研究はこのトピックに関連しますが、このページの直接の証拠ではありません。
ニースモデル:巨大惑星の軌道が激しく入れ替わり、多くの小天体が太陽系の内側へ投げ込まれて、後期重爆撃期を引き起こした。
出典:Gomes, Levison, Tsiganis & Morbidelli, Nature 2005, "Origin of the cataclysmic Late Heavy Bombardment period of the terrestrial planets"
地球の年齢:パターソンは隕石の鉛同位体を使って、地球の年齢を約45億5000万年と測定した。鉛汚染をなくすため、のちに有鉛ガソリンの禁止を訴えた。
出典:Patterson, Geochimica et Cosmochimica Acta 1956, "Age of meteorites and the earth"
アルミニウム26の謎:隕石中のアルミニウム26の崩壊生成物は、太陽系が生まれたとき、近くで星が死んだばかりだったことを示している。
出典:Lee, Papanastassiou & Wasserburg, The Astrophysical Journal Letters 1977, "Aluminum-26 in the early solar system: Fossil or fuel?"
宇宙のアミノ酸:マーチソン隕石から、地球外起源のアミノ酸が見つかった。生命の原料は宇宙にありふれているのかもしれない。
出典:Kvenvolden et al., Nature 1970, "Evidence for extraterrestrial amino-acids and hydrocarbons in the Murchison meteorite"
クレーターの発見:メキシコのユカタン半島の下に埋もれていたのは、直径約180キロのクレーター。まさにあの小惑星が残したものだった。
出典:Hildebrand et al., Geology 1991, "Chicxulub Crater: A possible Cretaceous/Tertiary boundary impact crater on the Yucatán Peninsula, Mexico"
太陽圏を出る:ボイジャー1号が測定した粒子の変化は、太陽風の領域を出て星間空間に入ったことを示している。
出典:Stone et al., Science 2013, "Voyager 1 observes low-energy galactic cosmic rays in a region depleted of heliospheric ions"
ゲーム設定(創作)
- ノード「エアロック」:自転軸の片端には、エアロックが何重にも入れ子になった輪があり、人が一人通れるだけの大きさがある。
- ノード「回転重力」:4分に1回転し、内壁の重力は地球の約0.6倍になる。
- ノード「中央平原」:平原には規則正しい水路と、整った幾何学模様がある。
- ノード「光の帯」:六本の長い光の帯がいっせいに点き、内部全体を照らす。
- ノード「円筒の海」:凍っていない海の輪が、円筒を腰のところで二つに断ち切っている。
- ノード「空っぽの都市」:海の両岸に、扉も窓もない建物がたくさん立ち、回路基板のように並んでいる。
- ノード「バイオット」:カニや機械のようなものが地面を掃除していて、訪問者には目もくれない。
- ノード「南の尖塔」:南端に巨大な尖塔が立ち、その周りを六本の小さな尖塔が囲んでいる。充電している。
- ノード「星図」:壁の一面に星図が現れ、それが来た道筋が記されている。
- ノード「無反動推進」:去る前に、それは何も噴き出さずに軌道を変えた。
- ノード「乗員」:乗員はおらず、乗員のための場所もない。
- ノード「目的地」:それはここで少しエネルギーを補い、先を急いだ。目的地は太陽系ではない。
- チャンネルのエンディング「それは去る」:それは、人類がまだ読み終えていない秘密を抱えたまま、速度を少しも変えずに太陽系を去る。次の宇宙でも、同じ瞬間に通りかかるだろう。
- 小説『宇宙のランデヴー』のあらすじ:巨大な円筒が太陽系に入ってくる。人類は探査船を送るが、持ち主には会えない。円筒はただ通り過ぎているだけだった。