ソラリスの海私たちをまねる海

系外惑星の海に生命の兆候は見つかるか?このページでは、透過スペクトル、K2-18 b、ジメチルスルフィド、バイオフィルムの電気信号、デイジーワールドを扱う。

約124光年先のK2-18 bは、赤色矮星を回る惑星で、質量は地球の約8.6倍。海があるのか、生命があるのかは、まだ議論が続いている。ゲームの「ソラリスの海」チャンネルは、スタニスワフ・レムの1961年の小説『ソラリス』の前提を借りて、これを、真似るだけで決して応えない、惑星全体の海として想像する。

このページでは、本物の部分を取り上げる。K2-18 bで実際に何が見つかったか、スペクトルから大気がどう分かるか、ジメチルスルフィドをめぐる論争、海洋惑星のさまざまなモデル、そして「惑星規模の心」に関係する本物の研究を2つ。バイオフィルムの電気信号と、デイジーワールドだ。心を持った海はフィクションだ。

K2-18 b:分かっていること、いないこと

  • 発見:K2-18 bは2015年にケプラー望遠鏡で発見された。赤色矮星のハビタブルゾーンにある。半径は地球の約2.6倍、質量は約8.6倍。
  • 透過スペクトル:惑星が恒星の前を通過するとき、星の光の一部が大気を通り抜け、分子ごとに吸収する色が違う。2023年、ウェッブ望遠鏡はこれを使って、K2-18 bの大気にメタンと二酸化炭素を確認した。
  • ジメチルスルフィド:2025年4月、あるチームがK2-18 bにジメチルスルフィドの兆候を報告した。信頼度は約3σ。同年7月に、より多くの観測を合わせた共同解析では、約2.7σにとどまり、確認に必要な5σにはほど遠い。ほかの研究は、生命のない光化学反応でも作られうると指摘している。地球ではジメチルスルフィドは主に生物が作るので、この兆候は注目を集めたが、その後の解析では、証拠は不十分だと判断された。
  • 海洋惑星:K2-18 bは「ハイシアン世界」で、水素の大気の下に、惑星全体を覆う液体の水の海があると主張する人もいる。ほかのモデルでは、海面のない小さな海王星に近いという。

海は全体として行動できるか

  • バイオフィルムの電気信号:2015年の研究で、細菌のバイオフィルムは、カリウムイオンの波を使ってコロニー全体に信号を送り、神経のように摂食を調整することが分かった。
  • デイジーワールド:1983年、アンドリュー・ワトソンとジェームズ・ラブロックは、黒と白のデイジーだけがいるモデル惑星を設計した。2種類は互いに栄枯盛衰を繰り返し、惑星の温度を、自分たちに適した範囲に保つことに成功する。生命は、自分の惑星を調節できる。

この2つの研究が示すのは、「集団は協調できる」「生命は環境を調節できる」ということだけだ。惑星全体の海が心を持つ、という意味ではない。

ソラリスの研究がますます混沌とするわけ

小説の中でレムは、この海専門の学問分野を丸ごと作り上げ、互いに矛盾する理論で図書館を埋めた。本物の科学にも、こうなりがちな面がある。証拠が少ないほど、説明が増える。K2-18 bをめぐる論争もその一例だ。

ゲームでの考え方

ここから先はゲーム設定。このチャンネルは、文明の樹で「ウェッブ望遠鏡」を解放し、星間文明の時代にダイソン球を建てると見つかる。シナリオでは、観測者が見るのは、惑星全体を覆う海だ。それは、考えているかのように動く。

仕組みは模倣だ。海はどんな言語にも応えず、ただ真似る。20分ごとに「模倣体」が浮かび上がり、その形は、主文明が最後に解放したものから取られる。主文明のこの1時間の活動が多様なほど(生命、物質、宇宙、文明、超越をそれぞれ1種類と数える)、産出が上がる。話しかける試みは、すべて失敗する。

シナリオでは、科学者が素数の列を海に向けて送るが、海は応えない。表面からは巨大な対称構造が立ち上がり、数時間後にまた沈み、二度と繰り返されない。このチャンネルには2つのエンディングがある。知り得ないもの、鏡。すべてフィクションだ。

関連する小説

  • ソラリス(スタニスワフ・レム、1961年):ガイア仮説とバイオフィルムのイオン信号は本物の研究だ。惑星全体を覆う海がひとつの心だというのはフィクションだ。小説では、科学者たちが海に覆われた惑星を研究する。その海はどんな言語にも応えないが、一人ひとりのいちばん深い記憶を、実体のある存在に変える。

関連する本物の研究

以下の研究は、系外惑星、海、日光に頼らない生態系に関するもの。関連する本物の科学であり、K2-18 bに海の心があることの証拠ではない。

  • ペガスス座51番星の周りに、4日で公転する巨大惑星が見つかり、太陽系はもはや唯一の惑星系ではなくなった。発見者は2019年のノーベル賞を受賞した(Mayor と Queloz、Nature、1995年)。
  • ケプラー望遠鏡は、惑星が前を横切るときのわずかな減光で新しい世界を探し、数千個を発見した(Borucki ら、Science、2010年)。
  • 深海の熱水噴出孔の周りには、日光に頼らない生態系があり、生命の起源に新しい候補地を与えた(Corliss ら、Science、1979年)。

実際の根拠

  • K2-18 b:2015年にケプラー望遠鏡が発見。赤色矮星のハビタブルゾーンにある。半径は地球の約2.6倍、質量は約8.6倍。

  • 透過スペクトル:惑星が恒星の前を通過するとき、星の光の一部が大気を通り抜け、分子ごとに吸収する色が違う。2023年、ウェッブ望遠鏡はこの方法でK2-18 bの大気中のメタンと二酸化炭素を特定した。

  • 硫化ジメチル:2025年4月、あるチームがK2-18 bに硫化ジメチルの兆候を約3σの信頼度で見たと報告した。同年7月、さらに多くの観測を合わせた共同解析では約2.7σにとどまり、確定に必要な5σにはほど遠かった。生命のない光化学でも作れる、と指摘する研究もある。

  • 海洋惑星:K2-18 bは「ハイセアン世界」だと考える人もいる。水素の大気の下に、惑星全体を覆う液体の水の海がある。海面のないミニ海王星に近いとするモデルもある。

  • バイオフィルムの電気信号:2015年の研究で、細菌のバイオフィルムはカリウムイオンの波でコロニー全体に信号を送り、神経のように摂食を調整していることがわかった。

  • デイジーワールド:1983年、ワトソンとラブロックは、黒と白のヒナギクだけが生える模型の惑星を設計した。二種が互いに増減し合い、惑星の温度を自分たちに適した範囲に保てる。生命は、自分の惑星を調節できる。

  • ソラリス学:1961年の小説でレムは、この海を研究するためだけの学問分野をまるごと作り上げた。矛盾する理論で図書館が埋まる。本物の科学もよくこうなる。証拠が少ないほど、説明は増える。

  • 『ソラリス』(スタニスワフ・レム、1961年)の科学:ガイア仮説や、細菌バイオフィルムのイオンによる信号伝達は、実際の研究。惑星全体の海が1つの精神だというのはフィクション。

関連する研究

これらの研究はこのトピックに関連しますが、このページの直接の証拠ではありません。

  • 最初の系外惑星:ペガスス座51番星の周りに、4日で公転する巨大惑星が見つかった。太陽系はもう唯一ではなくなった。2019年ノーベル賞。

    出典:Mayor & Queloz, Nature 1995, "A Jupiter-mass companion to a solar-type star"

  • ケプラー:ケプラー望遠鏡は空のひとつの領域を見つめ、惑星が横切るときのかすかな減光から新しい世界を探し、最終的に数千個を見つけた。

    出典:Borucki et al., Science 2010, "Kepler planet-detection mission: introduction and first results"

  • 深海の熱水:太陽光に頼らない生態系が深海の熱水の周辺に存在し、生命の起源に新しい候補地を与えた。

    出典:Corliss et al., Science 1979, "Submarine thermal springs on the Galápagos Rift"

ゲーム設定(創作)

  • ノード「海の惑星」:観測者の目に映るのは、一面の海。
  • ノード「ミモイド」:海から構造が立ち上がる。形は、主文明が最近やったことに似ている。
  • ノード「最初の会話」:科学者たちが海に向けて素数の列を送る。海は応えない。
  • ノード「シンメトリアド」:巨大な左右対称の構造が海から現れ、数時間後にまた沈む。二度と同じ形にはならない。
  • ノード「二度目の会話」:科学者が自分の脳波を光線に符号化して、海へ撃ち込む。翌朝、研究所の廊下の突き当たりに、とうに死んだ人が座っている。
  • ノード「訪問者」:訪問者は、海が何を考えているかを言わない。彼らはあなた自身の記憶の最も深いところにすぎない。
  • ノード「海辺で」:あなたは長いあいだ、海辺に座っていた。
  • チャンネルのエンディング「わからないまま」:世代を重ねて科学者が岸に来ては、新しい理論を持ち帰った。それが何を考えているのか、誰にもわからない。
  • チャンネルのエンディング「鏡」:あなたは、話してくれと頼むのをやめ、ただ見つめる。海は、あなたがしたことを何度も浮かび上がらせる。とてもゆっくりした鏡のように。そこに映るのは、いつだって自分自身だった。
  • 小説『ソラリス』のあらすじ:科学者たちが、海に覆われた惑星を研究する。それは巨大な一つの精神かもしれない。どんな言語にも答えないが、一人ひとりの心の奥底にある記憶を、実体ある存在に変えて返してくる。